リテンションの意味と4つの施策

外国人人材の流入や、日本でも転職が一般的になってきたことで注目されている「リテンション」という言葉。
「リテンション戦略」「リテンションマネジメント」などという風に使われますが、このリテンションの意味をきちんと知っていますか?

今回は、リテンションの意味や、リテンションに役立つ4つの施策をご紹介します。

リテンションの意味

リテンションとは、もともと英語で「維持」や「保持」を意味する単語です。

ビジネスで「リテンション」というと、人事領域とマーケティング領域で2通りの意味を持ちます。
ここでは、人事におけるリテンションについて、解説していきます。

人事領域での意味

人事領域でのリテンションとは、「人材の維持(確保)」を意味します。

具体的には、企業に必要となる優秀な人材を採用し、長期間定着させることです。
「リテンション戦略」「リテンションマネジメント」などという使い方をすることが多くなっています。
優秀な人材を集める採用手法や、報酬・福利厚生といった人事制度の整備は、当然リテンションが目的の業務です。

業務の効率化や残業削減など、従業員が働きやすい環境を整えること全般がリテンション施策と言えます。
また、一つの会社でキャリアを築くという考え方がない外国人労働者の受け入れが増加している昨今は、どの企業でもリテンションの強化は必須の課題となっています。

マーケティング領域での意味

マーケティング領域でリテンションというと、「既存顧客の維持」という意味です。
具体的には、リピーター数を増やしたり、既存顧客との関係を深めていったりすることを言い、売上や利益率の向上のために重要な施策です。

リテンションに有効な4つの施策

リテンションの意味や使い方がわかったところで、具体的にリテンション強化のために人事ができる4つの施策を見ていきましょう。

その1.社内の環境・コミュニケーションを改善する

人材が流出する大きな原因となるのが、社内の環境や人間関係です。

風通しが悪く居心地が悪い会社では、どんなにやりがいのある仕事でも長続きしません。人間関係が原因の離職が多い会社では、従業員同士のコミュニケーションを改善し、誰でも意見が言いやすい・通りやすい環境を整えることが重要となります。

具体的な施策としては、セクハラ・パワハラ防止のための講習、フリーアドレスの導入、経営層に社員の意見を伝える制度、相談用ホットラインの設置などが考えられます。

その2.待遇を良くする

給与・福利厚生・休日・拘束時間といった待遇面は、社員のリテンションに大きく影響します。

誰でも、一度待遇のいい会社に勤められたら離れたくないのは当然ですよね。
例えば、インセンティブの導入や週休3日制、副業許可、テレワークや時短勤務など多様な働き方を認めていくという施策が考えられます。

その3.教育制度を充実させる

教育制度の充実は、新入社員の早期離職を防ぐ効果があります。
教育制度が整っておらず、仕事を覚えたくても覚えられない環境では、モチベーションを保てず人材が育ちません。
入社時の研修やPDCAサイクルの強化、既存社員とのメンター制度など、効率的に仕事を覚え、人材が成長できる環境を整えましょう。

また、新入社員以外にも資格取得のサポートや業務に役立つ講座などを実施すると、スキルアップできている実感が持ちやすく、長期定着に繋がります。

その4.キャリアプランを明確にする

長く働いても、昇進や昇給の見込みがない・曖昧な会社では、社員は将来に不安を感じて離れていってしまいます。
昇進や昇給には明確な条件を決め、「この会社で働き続ければ、◯年後にはこうなれる」というビジョンを与えましょう。

面接時に、自社のモデルプランと応募者自身のキャリアプランの擦り合わせを行なって置くことも大切です。

外国人人材のリテンションはどう行う?

外国人人材は、離職理由や会社に魅力を感じるポイントが日本人とは異なることもあります。
外国人人材のリテンションを強化したい場合、どのような施策が有効なのかを見ていきましょう。

退職者へインタビューする

退職手続きが終わったあと、退職者と最後に行う面談を「エグジットインタビュー」といいます。
通常、退職の申し出があった時にも上司などが退職理由を尋ねますが、そのタイミングでは残りの勤務期間のことを考えて本音を言えない退職者も多いです。
そのため、会社とのしがらみがなくなった後に人事部が話を聞くエグジットインタビューでは、本当の退職理由を聞き出すことが可能。もし会社への不満が本当の退職理由であれば、退職者の意見はリテンション強化のためのヒントとなります。

特に外国人人材の場合は、日本人の人事からは予想もできない退職理由ということもあるため、エグジットインタビューが非常に役立ちます。

ちなみに、退職者と直接面談を行わずに、アンケートなどで退職理由を尋ねる方法は「エグジットサーベイ」と呼ばれます。
エグジットサーベイは、退職理由に合わせた深い質問はできませんが、実際に顔を合わせることがないためより直裁な回答を得られるというメリットがあります。

エグジットサーベイなら選択肢や短文での回答が可能なので、退職した外国人の日本語能力が充分でない場合はエグジットサーベイを利用してもいいでしょう。

キャリアへの考え方について理解してもらう

日本では、長く1つの会社で勤め上げるという考え方が一般的でしたが、海外ではそうではありません。
例えば、アメリカでは18歳から46歳の間に平均11の仕事を経験するというデータがあるなど、外国人にとっては転職のハードルが低いです。
そのため、外国人人材はもともと長く勤め続ける予定で入社していない人も多数。自分のスキルを、より高く買ってくれる会社があれば、そちらへ移動するという考え方が一般的です。

そんな外国人人材のリテンションを行うには、1つの会社でキャリアを積んでいくという日本的な考えを理解してもらう必要があります。
先にもお伝えしたように、長く勤め続けた場合のキャリアパスを明確にすると、将来のビジョンを描きやすいでしょう。

また当然、待遇や労働環境など、外国人人材が長く勤め続けたいと思える社内環境を整えることも大切です。

ストックオプションなどの制度を導入する

優秀な人材を会社に引き止める材料となるのは、自分が会社の成長に寄与していると感じられる達成感や責任感です。
今は規模が小さいものの、成長を目指したいベンチャー企業がリテンションを行うなら、ストックオプションを導入するのが有効です。

ストックオプションとは、株式会社の従業員が、あらかじめ定められた価格で自社株を取得できる権利のことを言います。
そして自社の株価が上昇し、あらかじめ定められた価格(権利行使価格)を超えた時点で購入、その後時価で売却すると、その差額が従業員の利益となる仕組みです。

将来成長が見込めそうな企業には、このストックオプションを条件として有能な人材が社員として入社したり、顧問に就任したりするというケースがあります。
このストックオプションを利用すれば、少なくとも株式取得の権利を行使するまでは有能な社員を社内に引き止めることも可能です。

また、社員側としても、自分の仕事ぶりがそのまま企業価値と利益に反映されるため、やりがいを感じやすいです。

まとめ

人事におけるリテンションは、獲得した人材を長期間維持しておくための施策全般を指します。会社は人が作るものなので、優秀な人材が長く定着すれば、それだけ業績にも良い影響を及ぼします。
リテンション施策にはコストのかかるものも多いですが、従業員が働きやすい環境を整えることが、会社にも従業員にもプラスに働くのです。

また、外国人従業員の場合は、離職理由が日本人とは違う場合もあるため、エグジットインタビューを通じて対策を考えることが大切です。

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