外国人採用でも助成金が活用できる?支給の対象と条件を解説

助成金は雇用促進や人材のスキルアップなどの、国や自治体が奨励する企業活動のために支給されます。そんな助成金の中には、外国人採用の際に活用できるものもあります。

今回は、「中小企業緊急雇用安定助成金」「雇用調整助成金」を中心に、外国人採用で利用できる助成金について解説いたします。
外国人が利用できる、その他の助成金についてもご紹介します。

外国人採用のメリットとは?

外国人採用で活用できる助成金を知る前に、まずは外国人採用の現状とメリットについて知っていきましょう。

外国人採用の現状

現在、専門的な技術や知識を持って日本で働いている外国人は約23万人。2008年には10万人程度だったことを考えると、 約10年で倍以上の数になっていることがわかります。

また、日本で技術を学ぶために働いている技能実習生は約25万人。さらに、学業を目的として来日している約25万人の留学生の中にも、資格外活動でアルバイトをする人がいます。
製造業では全体の30.2%、サービス業では14.8%を外国人が占め、外国人の採用は増加中。少子高齢化や人材の海外流出によって、今後も外国人採用は増え続けていくでしょう。

外国人採用のメリット

外国人を採用することのメリットは、いくつかあります。

  • 海外進出への足がかりになる
  • 社内に新しい風が入り活性化される
  • 不足している若い労働力を補える
  • モチベーションの高い人材が多い
  • 労働環境の見直しに繋がる

日本人とは異なる考え方を持つ外国人を採用することで、社内が活性化。
さらに、ワークライフバランスを重視する外国人を採用するために就労環境が見直され、日本人も働きやすい企業になることもあるのです。

外国人採用で申請できる助成金

それでは、外国人採用に際して利用できる助成金について解説していきます。

①中小企業緊急雇用安定助成金

「中小企業緊急雇用安定助成金」は中小企業が利用できる助成金です。
直近3ヶ月の生産量が、直前3ヶ月または前年の同期と比べて低下している場合に利用できます。

ちなみに、この助成金の利用は外国人従業員を採用している場合には限りません。外国人・日本人問わず従業員を採用したものの、業績が悪化してやむなく離職させなければいけないというケースで使える助成金です。

この助成金を用いて、休業期に外国人従業員に日本語力向上のための研修を受けさせるなどの活用法が考えられます。

対象となる企業

中小企業緊急雇用安定助成金の対象となるのは、各業界で定められている「中小企業」の定義に当てはまる企業です。
中小企業の定義は、資本金または出資総額と従業員の数によって定められています。

  • 製造業・その他:資本金の額または出資の総額が3億円以下、または従業員の数が300人以下の会社および個人
  • 卸売業:資本金の額または出資の総額が1億円以下、または従業員の数が100人以下の会社および個人
  • 小売業:資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、または従業員の数が50人以下の会社および個人
  • サービス業:資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、または従業員の数が100人以下の会社および個人

支給される額

中小企業緊急雇用安定助成金の支給額は、従業員を「休業」「職業訓練」「出向」のどの扱いにするかで変わります。

休業の場合
休業手当または賃金相当額の5分の4
職業訓練
1人あたり1日6,000円
出向
出向元の事業主が負担した賃金相当額の5分の4

支給の条件

中小企業緊急雇用安定助成金の利用条件は、以下の通りです。

・雇用保険に加入している中小企業
・直近3ヶ月の生産量または売上高が、直前3ヶ月または前年の同期と比べて5%以上低下している
・円高の影響によって売上高もしくは生産量の回復が遅れていて、直近3ヶ月の生産量または売上高が3年前の同期と比べて15%以上低下している また、直近の決算で損益が赤字

また、休業や出向を行う際に、以下の条件をクリアする必要があります。

・事業主が指定した日から1年のあいだに実施する
・労使間の協定によるものである
・実施前に管轄の労働局またはハローワークに届け出をする
・雇用保険の被保険者である
・休業手相手の支払いが労働基準法第26条に違反していない
・教育訓練は通常行われる教育訓練ではない
・出向は出向労働者の同意を得ている

支給限度日数

中小企業緊急雇用安定助成金の支給限度日数は、「休業」「職業訓練」「出向」どの場合でも3年間で300日までです。

申請方法

中小企業緊急雇用安定助成金は、必要書類を管轄の「労働局・ハローワーク」に提出することで申請できます。
中小企業緊急雇用安定助成金の申請に必要な書類は、以下の通り。

「休業または教育訓練」の場合
・休業協定書
・休業等実施計画届
・教育訓練協定書の写し
・雇用調整実施事業所等に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など
「出向」の場合
・出向実施計画届
・出向協定書の写し
・雇用調整実施事業所等に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など

②雇用調整助成金

「雇用調整助成金」は中小企業緊急雇用安定助成金とほぼ同じ目的ですが、大企業も利用することができます。

対象となる企業

雇用調整助成金の対象は、雇用保険に加入している全ての事業主です。

支給される額・限度日数

雇用調整助成金の支給額は、「休業もしくは教育訓練」「出向」のどちらかによって異なります。
また、「休業もしくは教育訓練」の支給額は企業の規模によっても異なります。

【休業もしくは教育訓練の場合】
大企業:賃金相当額の1/2(教育訓練実施の場合は1人1日1,200円加算)
中小企業:賃金相当額の2/3(教育訓練実施の場合は1人1日1,200円加算)
出向の場合
出向元の事業主の負担額(1人1日8,205円上限)

支給限度日数は「休業および教育訓練」の場合は1年間で最大100日、3年間で最大150日。「出向」の場合の支給限度日数は1年間です。

支給の条件

雇用調整助成金は以下の条件を満たす事業者が利用できます。

・雇用保険に加入している
・直近3ヶ月の生産量または売上高が、前年の同期と比べて10%以上減少している

・直近3ヶ月の雇用保険被保険者数と派遣労働者数の月平均値が、前年同期と比較して、
中小企業:10%以上かつ4人以上増加していない
大企業:5%以上かつ6人以上増加していない

・実施する雇用調整が以下の基準を満たしている
休業:所定労働日の全一日にわたり実施する、または被保険者全員が一斉に1時間以上実施する
教育訓練:休業と同様の基準。もしくは教育訓練の内容が業務に関連する知識や技術習得や向上を目的にしており、受講日は業務に就かない
出向:対象期間内に開始し、3ヶ月以上1年未満に出向元に復帰する

・過去に中小企業緊急雇用安定助成金・雇用調整助成金を受給したことがある場合、前回の満了日の翌日から1年以上経過している

申請方法

雇用調整助成金の申請は、以下の必要書類を管轄の「労働局・ハローワーク」に提出することで行えます。

「休業または教育訓練」の場合
・休業協定書
・休業等実施計画届
・雇用調整に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など
「出向」の場合
・出向実施計画届
・出向協定書の写し
・出向協定書
・雇用調整実施事業所等に関する申請書
・雇用調整助成金支給申請書など

外国人でも日本人対象の助成金を利用可能?

一般的には日本人が対象の助成金の中にも、外国人採用の際に利用可能なものもあります。

トライアル雇用奨励金

「トライアル雇用奨励金」は、職歴やスキルがなく、普通の就職が難しい人を一定の期間トライアル採用した場合に受給できる助成金です。
基本的には日本人労働者を対象にした制度ですが、外国人労働者にも適用されます。

支給額:採用1人につき最大4万円
支給限度期間:3ヶ月

人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」は、非正規労働者に研修を受けさせた場合、研修費用や研修期間に発生する賃金の一部が助成される制度です。
こちらも、外国人の非正規労働者も日本人と同じ条件で対象となります。

支給額:研修に要した費用の30~60%(企業規模・コースによって異なる)

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」とは、非正規雇用従業員を正規採用したり、スキルアップのための研修・労働環境の向上などを行なったりした場合に支給される助成金です。
外国人も日本人と同じく対象になる助成金ですが、帰国を前提としている技能実習生には適用されません。

また、在留資格が家族滞在・留学・技術実習など、就労資格を持たない外国人も対象外です。外国人の中でも、研修で得たスキルや労働環境を継続して国内で利用し続ける定住者のみが対象となります。
支給額はコースや企業の規模によって細かに異なります。

国際研修協力機構から支援を受けることも?

国や自治体の助成金ではありませんが、国際研修協力機構は外国人採用に関して、次のような様々なサポートを行なってくれます。

・外国人実習生や研究生の受け入れについての相談
・受け入れ企業の安全衛生・健康管理に関する相談や情報提供
・外国人実習生や研修生の帰国旅費を立て替え、死亡弔慰金制度
・日本語の集合研修を行う場合の資金支援

国際研修協力機構は資金のサポートだけではなく、相談・情報提供による外国人採用の後押しも行なっています。
また、資金支援を受けるには一定の条件があるため、利用したい場合には国際研修協力機構の公式サイトで確認しましょう。

まとめ

外国人従業員を採用している場合、日本人従業員と同じ条件で利用できる助成金が多数あります。
特に教育や研修に関する助成金が多いので、外国人の日本語力向上や業務のスキルアップを推進するために助成金を利用するといいでしょう。

国や自治体の助成金以外には、国際研修協力機構から情報提供や資金支援という形でサポートを受けることができます。

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