【2021年最新版】外国人労働者の実態は?賃金、労働時間…雇用主が注意すべきポイントも解説

日本で働く外国人労働者は、毎年増加しています。
その背景には国内の人材不足や政府による政策があり、今後はますます外国人労働者と接する機会が多くなっていくでしょう。

そこで今回は、外国人労働者の現状を理解するために、外国人労働者の実態を調査。
解決するべき問題点や、外国人労働者を雇用する際の注意点についても詳しくまとめました。

日本における外国人労働者の現状

まずは、日本で働いている外国人労働者の現状についてお伝えしていきます。

外国人労働者の種類

外国人労働者は、その人が持っている在留資格(ビザ)の種類によって以下の5種類に分けることができます。

  1. 身分に基づき在留する者:定住者・永住者・日本人の配偶者など
  2. 就労目的で在留が認められる者:職種別の「就労ビザ」を取得して入国した外国人
  3. 技能実習:日本で技術を習得することを目的とし、「技能実習」ビザで入国した外国人
  4. 資格外活動:留学生のアルバイトなど
  5. 特定活動:EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、ワーキングホリデー、ポイント制による優遇措置を受ける高度外国人材など

それぞれのビザの規定によって、就ける仕事の種類や働ける時間数、ビザの期限などが異なります。

参照:厚生労働省「日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 約68.2万人の内訳)」

外国人労働者の受け入れ状況

厚生労働省の調査では、日本で働く外国人労働者の数は令和2年10月時点で496,954人。
技能実習生や資格外活動など、非正規雇用の外国人も含めると1,724,328人です。
外国人を雇用している事業所は、69,597ヶ所です。

その内訳や外国人労働者数の推移などについて、詳しく見ていきましょう。

参照:厚生労働省「『外国人雇用状』の届出状況【概要版】(令和2年10月末現在)」

在留外国人数と国籍・地域

日本国内の外国人労働者の国籍を、多い順に並べると以下のようになります。

  1. 中国:170,176人(34.2%)
  2. ベトナム:83,654人(16.8%)
  3. 韓国:38,868人(7.8%)
  4. ネパール:38,440人(7.7%)
  5. フィリピン:32,507人(6.5%)

外国人労働者数の推移

過去5年間の外国人労働者数の推移は、以下のようになっています。

  • 2016年:907,896人
  • 2017年:1,083,769人(前年比+19.4%)
  • 2018年:1,278,670人(前年比+14.2%)
  • 2019年:1,658,804人(前年比+13.6%)
  • 2020年:1,724,328人(前年比+4.0%)

2020年は新型コロナウイルスの影響もあり伸び率が少ないですが、日本国内の外国人労働者数は年々増加し続け、毎年最多人数を更新しています。

不法残留・不法就労者数の推移

ビザを取得して正当に入国する外国人が増えている一方、ビザ無しで入国・在留・就労する外国人も。
過去5年間の不法残留・不法就労者数の推移は、以下のようになっています。

  • 2016年:13,351人
  • 2017年:13,686人
  • 2018年:16,269人
  • 2019年:19,386人
  • 2020年:15,875人

不法残留・不法就労者数は、毎年少しずつ増え続けていたものの、2020年は新型コロナウイルスの影響で入国者自体が減った影響もあって減少しています。

外国人労働者数増加の理由

日本に外国人労働者が増えている背景には、国内の人材不足と、それを補うために政府が打ち出した政策があります。

外国人留学生の増加

日本政府は、外国人留学生の日本企業への就職支援を強化することで、高度外国人材の受け入れを促進しています。
これは、少子高齢化の影響で日本国内の若者が減っているのを補うためです。
留学生は基本的には勉強のために来日しているので、留学ビザには就労資格はないのですが、許可を得て資格外活動(アルバイト)を行うことが可能です。

また、卒業後にそのまま日本企業に就職し、日本に在留する留学生も増えています。

入管法改正

2019年に入管法が改正され、「特定技能1号」「特定技能2号」という2種類のビザが新設されました。
このビザによって、従来は外国人が就くことができなかった「単純労働」と言われる仕事(清掃・介護・ライン工・倉庫作業・第一次産業など)にも外国人労働者が従事可能になりました。

特定技能ビザは、特に国内で人手不足の職種が対象となっているため、海外に人手を求める事業者が増えているのです。

技能実習生の増加

技能実習生の増加も、外国人労働者が増えている理由の一つです。
技能実習生はあくまでも日本に技術を学びに来ているのであり、期間限定の実習終了後は帰国するのが通常です。
本来は、技能実習生を労働力とは見なしません。

しかし、技能実習生を低コストの労働力として使い、制度を悪用する事業者がいるのも確か。
また、実習によって特定技能ビザの取得試験に合格できる制度もあり、日本で就労するための足掛かりとして技能実習に来る外国人もいます。

外国人労働者の実態と問題

ここ方は、日本にいる外国人労働者の実態と、今起こっている問題についてお伝えします。

①不当な待遇

外国人労働者は、日本の法律や常識に明るくないことから、悪質な事業者に利用されてしまうケースが多々あります。
どのような問題があるのか、詳しく見ていきましょう。

契約に関するもの

外国人の雇用にあたって、契約書を用意しない・守られないという問題があります。
日本の法律では、雇用契約書は必須のものではないため、契約書なしで人を雇用すること自体は違法ではありません。
しかし、労働時間数や賃金などの労働条件については書面で明示する必要があります。

外国人には、こういった日本の法律の知識が少ないため、条件をしっかり詰めずに働き始めて後にトラブルになることがあるのです。

賃金・各種手当に関するもの

賃金が日本人労働者に比べて極端に安い・未払いが多いというのも問題点。
日本の法律では「同一労働同一賃金」といって、同じ仕事をする人は同じ給与で雇用することが定められています。

もちろん、国籍を理由として賃金に差をつけることは許されていません。
また、外国人には言葉の壁やビザ更新という弱みがあるのを利用して、給与や残業代を未払いにしてしまう悪質な事業者もいます。

労働時間に関するもの

長時間労働は日本社会全体の問題となっていますが、特に過酷な状況に置かれている外国人労働者は多いです。
中には、外国人労働者や技能実習生を「使い捨ての労働力」のように扱い、過労死ラインをゆうに上回る労働を強いている会社もあります。

②外国人労働者への差別

外国人労働者は、差別やいじめ、パワハラ、セクハラ等の標的にもなりやすいです。
文化の違いや差別意識、コミュニケーションが上手くいかないストレスなどが原因ですが、いかなる理由があったとしても、いじめやパワハラは許されない行為です。

外国人労働者を受け入れる際は、外国人側への教育だけではなく、上司や周りの日本人従業員にも、外国人受け入れのための教育が必要です。

③制度の悪用

世界の中でも、日本の就労ビザの取得基準は特に厳しいです。しかし、どんな制度にも抜け穴はあります。

例えば、日本の在留資格がある人が難民申請をした場合、特定活動という在留資格に変更され、6か月後の更新手続き時に就労資格が付与されるという制度。
これを悪用して、本来は日本で働く資格がない外国人による難民認定申請が急増し、問題視されています。

また、外国人はビザが切れると日本に居られず、更新には雇用主の協力が必要なため、それを盾にとって脅し、不当な労働条件に従わせるなどのケースも報告されています。

外国人労働者の雇用主が知っておくべき注意点

最後に、外国人労働者を雇用するにあたって、雇用主側が知っておくべき基礎知識をお伝えします。

外国人労働者に関する法律

外国人労働者を雇用する場合、全ての労働者に適用される「労働基準法」のほか、「労働施策総合推進法」「出入国管理及び難民認定法」の知識も必要です。

労働基準法

労働基準法は労働者を守るための法律で、労働契約や賃金、労働時間といった労働条件について定めています。
労働者が心身の健康を崩さず働くために、最低限の基準が定められているため、全ての労働者を労働基準法に則って働かせなければいけません。
もちろん、外国人労働者にも労働基準法が適用されます。

労働施策総合推進法

労働施策総合推進法のうち、外国人労働者に関係があるのは主に「外国人の雇用状況の届出関係」。
外国人を新しく雇用したり、異動・離職などがあった場合には、この法律に則って各役所に届出を行う必要があります。
届出を怠ると、30万円以下の罰金を科される可能性があるため注意しましょう。

出入国管理及び難民認定法

出入国管理及び難民認定法は、通称「入管法」と呼ばれます。
外国人が日本に入国・在住・就労するための、在留資格(ビザ)について定めたものです。
外国人労働者がビザを取得したり、更新・変更する際には、この法律で定められた条件を満たし、定められた手続きする必要があります。

ビザの手続きには雇用主の協力が必須の工程も多いため、詳しく知っておきましょう。

労働条件・労働環境の注意点

最後に、外国人を雇用するにあたって、条件面の注意点についてもお伝えします。

労働時間・有給休暇

外国人労働者の労働時間や有給休暇は、日本人の労働者と同じく、労働基準法で定められた最低限の基準をクリアする必要があります。
適用される法律が同じなので、外国人だからといって日本人より厳しい労働条件で雇用できるということはありません。

また、留学生のアルバイトの場合、学校がある時期は週28時間以内、夏休み期間などは1日8時間以内と働ける時間数が定められているので、超えないように注意しましょう。

賃金・各種手当

先にもお伝えしましたが、「同一労働同一賃金」の原則により、同じ仕事をするなら日本人も外国人も同じ賃金で雇用する必要があります。

また、当然ながら各都道府県が定めている最低賃金は、外国人労働者も例外ではありません。
これは、技能実習生や、ビザなしの不法就労であっても同じです。

最低賃金以下の給与で従業員を働かせていた場合、例え双方に合意があったとしても無効となり、遡って適正な賃金を支払う必要があります。
また、日本での住居費・渡航代など日本人の従業員には発生しない手当については、雇用主が負担するのが義務ではありませんが、どうするのか決めて通知しておくべきです。

社会保険・税金

日本に住所を持っている外国人労働者は、社会保険や税金などの条件は原則的に日本人労働者と同じです。
将来的に帰国予定がある外国人は、日本で支払った年金保険料は掛け捨てになると勘違いして加入したがらない人もいますが、日本で働く以上は加入は義務なので加入してもらう必要があります。

入退社手続き

外国人労働者の入退社手続きも、原則的に日本人と同じ。
外国人が離職した場合、会社は入国管理局に届け出る努力義務がありますが、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」の届出をしていれば、入国管理局への届出は原則的に不要です。

また、外国人は転職する際、本人が入国管理局で在留資格の変更を行いますが、その際に「退職証明書」が必要になるため、退職時に渡しておくとスムーズです。

労働環境

外国人労働者を雇用する際には、受け入れ側の日本人も、外国人もストレスなく働ける環境作りが必須です。
外国語のマニュアル作成や看板表示、必要なら翻訳機の導入や社内公用語の変更なども視野に入れましょう。

また、差別やパワハラが発生しないよう、研修やレクリエーションで心理的な溝をなくしていくのが望ましいです。

まとめ

日本の外国人労働者は、人手不足や政府の政策を背景に毎年増え続けています。
外国人労働者の現状や問題点など、実態を把握することが在留外国人と共生していくための第一歩。
今後も増加していく見込みの外国人労働者をうまく受け入れられるよう、法律や労働条件の知識をしっかり頭に入れておきましょう。

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