「働きやすい企業」とは?10のチェックポイントと最新企業ランキング

就職・転職活動において、人材が重視する条件は「働きやすさ」。

働きやすさには様々な側面がありますが、今回は「働きやすい企業」に共通する10のポイントをまとめました。

また、様々な調査で分析された「働きやすい企業ランキング」も掲載。
企業の人事担当者向けに、働きやすい企業にするポイントを解説していきます。

「働きやすい企業」が注目される背景

近年の日本は、少子高齢化の影響で深刻な働き手不足に陥っています。
そのため、少ない労働力で利益を維持しようと、従業員に長時間・低賃金の労働を求める「ブラック企業」が増加。

一方、労働者の目線では職場を選びやすくなっているので、ブラック企業を避けて働きやすい企業を見つけたいと考えるのは当然です。

人材が集まらないと、少ない人材に負担を強いる悪循環から抜け出すことができないため、企業側も「働きやすさ」に着目して労働環境を整備する必要に迫られています。

「働きやすい企業」10のチェックポイント

それでは、具体的に「働きやすい企業」とはどんな会社なのかを見ていきましょう。

企業の人事担当向けに、10のチェックポイントをまとめました。

①福利厚生の整備

福利厚生が充実している企業は、従業員を大切にする「働きやすい企業」の一つの基準です。

福利厚生には、社会保険(雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険)などの「法定福利厚生」と、それ以外の「法定外福利厚生」があります。
法定福利厚生が利用できるのは、法律遵守という意味で当たり前。

法定外福利厚生には、住宅補助・交通費・退職金といった金銭面の補助や、健康診断など健康維持のための施策、社員食堂など社内施設の充実、その他にも様々なものがあります。
どんな福利厚生があれば働きやすいのか、従業員へのアンケートやアイデア募集などを通して適切な施策を導入できると良いでしょう。

②低い離職率と高い定着率

働きやすい企業では、誰もが長く働きたいと考えるのが当然。
そのため、自然と離職率は低くなり、定着率が高くなっていきます。

数字としてわかりやすいので、就職・転職を考えている人材も、定着率平均勤続年数に注目して企業を選ぶことが多いです。

人事担当者は、まずは離職率・定着率を算出して同業他社と比較し、数字がよくない場合は原因の分析・改善を通して「働きやすい企業」に近づけていく必要があります。

③有給休暇の取得率

従業員への有給休暇の付与は法律で義務付けられていますが、その取得率や取得方法は企業によってばらつきがあります。

原則的に、従業員が「有給休暇を取得したい」と申し出た場合は時期や理由を問わず承認しなければいけないのですが、それができていない会社も多数。

マネジメント側の意識を変えて有給休暇を取得しやすい環境にするほか、閑散期に事業場全体を休業にすることで一斉取得を促すなど、有休取得率向上のための施策が必要です。

④残業・長時間労働への対応

残業・長時間労働が多すぎる企業は、従業員の心身に負担を与え、ワークライフバランスが取りにくい「働きにくい企業」です。

2019年に成立した「働き方改革関連法」により、月45時間・年360時間以上の残業が規制されるようになりました。
残業や長時間労働が常態化している企業では、業務効率化や従業員の増員を行い、残業時間の削減に取り組む必要があります。

また、時間外労働には法律に基づいた割増賃金の支払いが必要です。

⑤女性の復帰率とサポート体制

男女平等という考え方、また少ない人材をフル活用する必要性から、妊娠・出産を経た女性の働きやすさが注目を集めています。
産休・育休の取得率や、女性の復帰率が低い企業では、その原因の追及や新たな施策の導入が必要になるでしょう。

例えば、時短勤務テレワークフレックスタイム制など柔軟な働き方ができれば、子供の世話をしながらでも仕事に復帰しやすくなります。

また、既婚女性が活躍する企業では、社内に保育所を設けていることも多いです。

⑥良好な人間関係

人間関係の良さは、働きやすさにおいて重要なポイントです。
風通しが良く意見が言いやすい職場なら不満をため込んで退職する社員が減りますし、従業員同士がサポートしあうことで生産性も高めていくことができます。

当人同士のコミュニケーションに依存するのではなく、会社側が人間関係構築のための研修やレクリエーションを行ったり、後で解説するハラスメント対策を実施していくと良いでしょう。

⑦健全な財務状況と中期経営計画

経営状況が良い企業なら、給与や賞与、福利厚生などで利益を従業員に還元しやすく、働くモチベーションを保つことができます。

また、就職・転職を希望する人材が、業績が良く将来性がある企業を選びたいのは当たり前です。
財務諸表や中期経営計画で企業の将来性を示していくことは、人材の獲得・維持のために重要と言えるでしょう。

⑧ハラスメント対策

 
セクハラ、パワハラなどハラスメントが横行している職場では、どんなに条件が良くても働きたくない人が多いです。

ハラスメント防止策としては、相談窓口の設置や、研修を通じた意識改革などが挙げられます。

また、もし職場内でハラスメントが起こってしまった場合には、適切な処罰を行って「ハラスメントを許さない」という態度を示していくことが重要です。

⑨適切な人事評価

業績や貢献に見合った評価が得られないと、「働きにくい」と感じて離職してしまう人材が多くなります。
そのため、離職率が高い企業では評価制度を見直し、適切な評価ができているかどうか考える必要があるでしょう。

人間関係などでブレが出ないよう、客観的かつ明確な評価基準を定め、給与や昇進に反映させていく必要があります。

⑩社員研修などのサポート体制

その企業で働くことで「成長できている」という実感があることも、働きやすい企業の条件。
仕事が単調で成長している実感がなかったり、「仕事は見て覚えろ」という古い考え方の職場には、人材が定着しません。

上司から部下への日常的な指導はもちろん、定期的な研修資格取得の補助などで、社員のスキルアップをサポートしましょう。

「働きやすい企業」2020年ランキング

それでは、2020年に発表された「働きやすい企業」のランキングと、それぞれの企業が評価されたポイントについてお伝えしていきます。

「働きやすい企業」ランキング

以下のランキングは、人材派遣会社「ランスタッド」が調査した、勤務先としての企業の魅力度を示した「エンプロイヤーブランド」のランキングです。

18〜65歳の男女を対象にした調査で、人材が「働いてみたい」と感じる企業を「財務体質」「ワークライフバランス」「キャリアアップ」など10の指標で分析・順位付けしています。
参考:https://www.randstad.co.jp/ebr/tokyo2019/ranking02.html

  • 位 サントリーホールディングス
  • 位 味の素
  • 位 トヨタ自動車
  • 位 ソニー
  • 位 パナソニック
  • 位 楽天
  • 位 キリンホールディングス
  • 位 日清食品ホールディングス
  • 位 花王
  • 位 アサヒグループホールディングス

これらの会社に共通するのは、まず「誰もが知っている大手企業」ということ。
大手企業は業績が安定しているので、給与水準や福利厚生が充実していて働きやすさに直結しています。

また、基準になっている10の指標の中で、上位企業は「ワークライフバランスが実現されやすい」「長期にわたる安定した雇用機会がある」「財務体質が健全である」という指標の水準が高いことも共通していました。

「女性が選ぶ働きやすい企業」ランキング

次に「女性が選ぶ働きやすい企業」ランキングは、転職サービスを運営する「JobQ」によるデータです。

参考:https://encount.press/archives/112941/2/

  • 位 東日本電信電話株式会社
  • 位 日本オラクル株式会社
  • 位 株式会社NTTドコモ
  • 位 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
  • 位 スターバックスコーヒージャパン株式会社

1位の東日本電信電話株式会社は、「ダイバーシティ推進小委員会」や「女性コミッティ」を設立し、ワーク・ライフ・マネジメントを積極的に実施しています。
また、現役の女性社員からは「昔は男性が多かったため、女性に優しい上司が多い」「結婚して、出産経験後に職場復帰する女性が多数」などの声もありました。

2位の日本オラクル株式会社は女性管理職の割合が13%、3位の株式会社NTTドコモは女性の活躍推進の取り組みに積極的で、女性のキャリアアップに注力しているのが共通点です。

「働きやすい企業」の認定調査とは?

どんな企業が「働きやすい企業」なのかは労働者の主観に委ねられがちですが、国や民間企業による認定調査も存在します。

政府・民間による企業調査

厚生労働省は、働き方改革の一環として「働きやすく生産性の高い企業・職場」を公募・表彰する取り組みを行っています。

応募があった企業から、学識者・労使団体等の代表者などが審査を行い、優秀企業を選出。それらの企業の取り組みを、シンポジウムや事例集で紹介しています。

また、民間の調査としては、先にお伝えしたランスタッドの「エンプロイヤーブランド」や、ブランド総合研究所による「企業版SDGs調査2020」などがあります。

企業調査で表彰・認定されるメリット

これらの調査で表彰・認定されるメリットとしては、社内の意識が高まり、健康経営が習慣化しやすいことがあります。

また、学生や求職者から働きやすい企業として認知されることで、応募数が増えるため採用活動の質も向上します。

さらに、取引先や投資家からの評価も上がり、販路拡大や業績の向上にも効果をもたらすでしょう。

今、働きやすい企業に求められることとは

今、働きやすい企業に求められているのは、総合的な「ワークライフバランス」。

給与や勤務時間といった労働条件はもちろんのこと、福利厚生子育て支援など、会社の利益優先ではなく、従業員が生活を充実させながら長く働けることが重視されています。
特に女性の活躍が期待される企業においては、厚生労働省による「子育てサポート企業」認定を示す「くるみんマーク」の取得などは客観的な基準の一つとなるでしょう

まとめ

人材を獲得し、離職率を低くするためには、従業員の「働きやすさ」が重要です。

ワークライフバランスの充実は、従業員の心身の健康や生産性の向上に繋がり、ひいては会社の成長性を高めていきます。

採用活動に悩みを感じている企業では、働きやすさについて考え、労働環境を整備していく必要があるでしょう。

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