外国人採用では経歴詐称に注意!海外と日本の就職事情の違い
引用/海外の採用事情 経歴詐称が多い国・少ない国ランキング 日本は何位?

企業のグローバル化や人手不足が高まる中、近年、日本における外国人労働者数は右肩上がりに上昇中です。2008年から2018年の10 年間に、外国人労働者が就業者全体に占める割合は、0.8%から 2.2%へと2倍以上の伸びで急速に拡大しています。

外国人雇用は、国内では見つかりにくい優秀な人材の確保、新たな発想の創出など、多くのメリットをもたらしてくれます。しかしながら、海外では日本よりも経歴詐称が横行しているという傾向があるのも事実です。

そういった背景を元に、これからどんどん採用調査やリファレンスチェックの重要性が高まって来るでしょう。今回は、日本と海外の経歴詐称の実態と、文化的背景の違いから来る外国人材の採用の際の注意点について解説します。

日本 vs 海外諸国 経歴詐称が多い国は?

あなたは、経歴詐称と聞いて何を思い浮かべますか?有名人の経歴詐称の例くらいで、あまりピンと来ない方も多いかもしれません。

実際、海外の人材採用があまり行われて来なかった日本では、これまで経歴詐称はそこまで問題視されて来ませんでした。以下のインフォグラフィックでも、海外諸国と比べると日本の経歴詐称は少ない傾向にあることが分かります。

引用/海外の採用事情 経歴詐称が多い国・少ない国ランキング 日本は何位?

データによれば、採用調査が行われた17カ国中、日本は5.47%と経歴詐称率は比較的低く、全体で13位、アジアでは6カ国中5位という結果となっています。では、なぜ国によってこれほど違いがあるのでしょうか?国民性や価値観の違いによるものなのでしょうか?

もちろんそういったことも関係するかもしれませんが、実は、その答えを握る鍵は、その国の文化的背景から起因する以下の2点にあります。

①労働環境や雇用形態の違い

一つ目に、その国の平均的な転職の頻度と、転職によるキャリアアップのチャンスの多さが深く関係しています。

日本では、今まで終身雇用制度が広く用いられていました。
つまり、一度社会に出てから大学へ入り直して修士号や博士号などの学位を取得したり、転職を繰り返してキャリアアップを図ったりといったことはあまり一般的ではありませんでした。

終身雇用がほぼ崩壊しつつある現在も、まだまだ伝統的なキャリア形成に従う人が多いのが現状です。そのような状況では、経歴や学歴を偽って、今より良い条件の仕事を得てキャリアアップしていくという考えは起こりにくいですよね。

転職してキャリアアップしていくという点を考慮すると、中国にも同じことが当てはまります。

中国では、1993年に社会主義市場経済体制が確率するまで、共産党体制の元に、ほぼ全ての国民の給与が均一化されていました。
もちろん、共産主義の元ではキャリアアップという概念がそもそも存在しないため、経歴詐称をする人が少なかったのも納得がいきます。

②履歴書偽造業者の普及度

次に、経歴詐称を助長する主な原因として、履歴書を偽装する業者の普及が挙げられます。
日本ではほとんど馴染みがないかもしれませんが、海外、特にアメリカではこのような業者が多く蔓延っています。

特に学位偽造の代行業者が多く、それらは英語で「Diploma Mill」また「Decree Mill」と呼ばれ、実在する教育機関の卒業証明書を偽造したり、架空の教育機関からの卒業証明書を発行したりしています。また別の手口として、ペーパーカンパニーを設立し偽の在籍記録を捏造したり、替え玉面接を行う不法な人材紹介会社もあります。

日本や中国と違って、転職してどんどんキャリアアップをしていくのが一般的なアメリカだからこそ、経歴詐称も多く見られるということでしょう。

また、新卒が採用されやすい日本と異なり、アメリカでは年齢に関係なく、その人物自身の能力に基づき企業や仕事への適性を図るという姿勢が一般的です。こうした雇用環境の違いも、経歴詐称の発生率に影響を与えているのかもしれません。

リファレンスチェックは異文化理解への第一歩

日本では、学歴証明書、資格証明書、その他採用の際に提出される証明書類の偽造確認や、リファレンスチェックをしている企業はまだ少数です。

しかし、外国人雇用が進む中で、海外からの採用候補者の中には、もしかしたら、経歴詐称が多く普及している国から来ている人もいるかもしれません。

これからは、そのような事実も、異文化理解の一環として留意した上で採用を進めていく必要があります。リファレンスチェックを導入し採用候補者の適性を正しく審査することは、雇用後のトラブル防止だけでなく、企業の信用を守ることにも繋がるのです。

最後に、リファレンスチェックの手間を考慮しても、外国人採用はそれ以上に、本人・企業側ともにメリットが多いものです。

新渡戸稲造の有名な著書「武士道」でも、「人間は、それぞれ考え方や、ものの見方が違うのが当然である。

その違いを認め合い、受け入れられる広い心を持つことが大切である。」と語られています。
真の異文化理解とは、文化を多角的に、良い面だけではなく負の面やリスクをも正しく認識することではないでしょうか。

今回の記事が、外国人採用についての理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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