外国人は健康保険に加入必須?【加入条件・メリットを解説】

外国人を雇用する場合、気になるのが健康保険の扱い。日本の社会保険や国民健康保険に、外国人は加入の義務があるのでしょうか。

今回は、日本に在留している外国人の健康保険について幅広くご紹介。加入手続きの方法や、外国人が健康保険に加入するメリット、外国人による不正利用の実情もお伝えします。

外国人は健康保険に加入必須?

日本で働く外国人は、条件によっては健康保険への加入が必須になります。
外国人が健康保険に加入必須となる条件や、加入していない場合どうなるのかを見ていきましょう。

在留期間が3ヶ月を超えると加入の必要がある

在留期間が3ヶ月を超える外国人は、基本的に健康保険に加入する必要があります。
外国人労働者の場合は全国健康保険協会が運営する企業向けの健康保険、それ以外の外国人は国民健康保険に加入します。

健康保険に加入していないとどうなる?

日本に3ヶ月以上在留している外国人が健康保険に加入していなくても、何か処罰があるわけではありません。
また、加入していないことがわかっても、国や自治体が強制加入させるということもありません。

しかし、医療機関の中には健康保険に加入していない患者の治療は断るという機関も。
そういった場合、その時点から健康保険に加入することはできるのですが、保険料の支払いはその時点から発生するわけではありません。健康保険の保険料は、在留している自治体に住民登録をした日まで遡って支払わなければいけないのです。
ただしこの措置は外国人に限ったことではなく、健康保険に加入していない、または保険料を支払っていない日本人も同じ対応となります。

健康保険に加入していない場合の医療費

国民健康保険の医療費負担は3割ですが、健康保険に加入していなければ当然10割負担になります。
中には「今は健康だから健康保険料は払いたくない」という人も多いですが、万が一思わぬ怪我や病気をした時に多額の医療費を支払うことになってしまうのです。

外国人が健康保険に加入できる条件

それでは、外国人が健康保険に加入できる条件を見ていきましょう。

健康保険に加入できる条件

在留期間が3ヶ月以上の外国人は、日本の国民健康保険か会社の健康保険に加入できます。
ただし例外もあり、下の項目で挙げる条件のいずれかにあたる場合は健康保険に加入することができません。

健康保険に加入できない外国人の方

以下のいずれかの条件に当てはまる外国人は、国民健康保険に加入することができません。

  • 不法滞在など、在留資格がない
  • 在留期間が3ヶ月以下
  • 在留資格が「短期滞在」または「外交」
  • 在留資格が「特定活動」で、活動内容が「医療を受ける活動」または「その方の日常の世話をする活動」
  • 在留資格が「特定活動」で、活動内容が「観光、保養その他これらに類似する活動を行う18歳以上の方」または「その方と同行する配偶者」
  • 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の方で、本国政府から社会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている
  • 職場の健康保険に加入している方とその扶養者
  • 75歳以上の方(後期高齢者医療制度の対象となります)
  • 生活保護を受けている方

健康保険に加入するための手続き

外国人の国民健康保険への加入手続きは、転入から14日以内に市町村の国民健康保険課で行います。もしこの期間に加入手続きをしなかった場合は、入国日や転入日、資格喪失日まで遡って保険料を支払わなければいけません。
すでに国民健康保険に加入している外国人の子供が生まれたときも、子供の健康保険加入手続きを行います。

会社の健康保険に外国人が加入する条件や手続きは、日本人の場合と同じです。会社が必要書類を日本年金機構に提出し、加入手続きを行います。

健康保険に加入する手続きに必要な書類

外国人が国民健康保険に加入する手続きに必要なものは以下の通り。

  • 在留カードまたは特別永住者証明書
  • ビザ・学生証など
  • 社会保険資格喪失証明書・離職票・退職証明書・源泉徴収票のうちいずれか一つ(会社を辞めて国民健康保険に加入する場合)

すでに国民健康保険に加入している外国人の子供が生まれたときは、

  • 在留カードか特別永住者証明書
  • 国民健康保険証
  • 母子健康手帳

が必要になります。

外国人が会社の健康保険に加入する場合は、日本人と同じで

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 被保険者資格取得届
  • 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
  • 保険料口座振替納付(変更)申出書

が必要です。会社の健康保険の場合は、外国人だからといって在留カードやパスポートが必要になることはありません。

外国人が健康保険に入るメリット

外国人は「健康で医療費がかからないのに健康保険に入りたくない」と健康保険への加入を渋るケースもあります。
しかし、健康保険の加入は権利ではなく義務なので、外国人もメリットを理解して健康保険に加入しなければいけません。

病院での医療費が安い

まず大きなメリットが、病院での医療費が3割負担になるということ。
今は健康でも、いつ病気や怪我をするかわかりません。自分が気をつけていても、事故などに巻き込まれる可能性はゼロではありませんから、そのリスク回避のために健康保険は必要なのです。

被扶養家族も給付が可能になる

外国人が健康保険の加入者となると、その被扶養家族も保険給付の対象者となります。
ただし、それには条件があり、以下の2点を満たさなければいけません。

  • 国内に居住し、住民登録をしていること
  • 在留期間が1年以上であること(短期滞在ではないこと)

この条件を満たしていれば、扶養家族が日本国内にいなくても保険金が給付されます。

会社と労働者と折半で保険加入できる

外国人労働者が加入する会社の健康保険は、保険料が会社と本人で折半になります。負担金額が少なく手厚い保障を受けられるので、これは日本人・外国人問わず大きなメリットです。

外国人の健康保険の注意点

外国人が健康保険に加入するにあたって、注意点がいくつかあります。
外国人を雇用して健康保険に加入させる際には、以下のポイントに気をつけましょう。

アルバイトなどの労働時間

アルバイトやパート採用で外国人を雇用する場合、正社員とは健康保険の加入条件が異なります。
アルバイトやパートの外国人が健康保険の加入必須となるのは「社員の4分の3以上の労働日数があること」と、以下の条件のうち1つを満たす場合です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上あること
  • 雇用期間が1年以上見込まれること
  • 賃金の月額が8.8万円以上であること
  • 学生でないこと
  • 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

母国の社会保障制度を確認する

外国人が母国でも健康保険と同様の社会保障制度に加入している場合、保険料が日本と母国で二重払いになってしまいます。
これを防ぐためにあるのが「社会保障協定」。内容は相手国によって異なりますが、社会保障協定を結んでいる国から来た外国人は、母国か日本のどちらかの社会保障制度に加入していれば問題ありません。
外国人を雇用した場合は母国の社会保障制度を確認し、二重加入を避けましょう。

就労ビザの更新に提示を求められる

就労ビザを更新する際には、健康保険証の提示を求められます。そのため、健康保険に加入していない外国人はビザの更新ができず、在留期限が満了すると同時に帰国しなければいけません。
継続して外国人を雇用したい場合には、本人が加入を渋っても健康保険に入れる必要があるのです。

外国人が健康保険を悪用している?

中には、外国人が健康保険を悪用しているケースがあります。
その方法は、C型肝炎など高額な医療費がかかる病気を抱えた外国人が留学ビザなどで来日し、日本の健康保険に加入して治療を受けるというもの。

また、「生計を一にしていれば三親等までの扶養家族も保険の給付対象」というシステムを利用し、母国にいる家族の医療費を実際より多く申告するというケースもあります。家族が海外で治療を受けた場合も、「海外療養費」という制度で日本の保険が適用になるのです。

外国人労働者の受け入れが増えると、このような海外での不正利用が広がり、日本の医療費が膨張するという懸念があります。この問題に対応するため、国は2018年3月から外国人に対して健康保険を適用する際のチェックを試験的に厳格化。
しかし、実際には先に紹介したような悪質なケースは稀で、この厳格化はイメージ先行で対策を始めてしまったという見方もあります。

外国人の健康保険は、適切に利用する分には正当な権利です。
外国人の労働力を必要として受け入れる以上、外国人とその家族への保障にお金がかかるのはある程度仕方がないことではないでしょうか。

まとめ

日本に3ヶ月以上滞在する外国人は、健康保険への加入が必須。日本の企業で働く外国人は会社の健康保険に、それ以外の外国人は国民健康保険に加入します。

加入しなくても罰則はありませんが、いざという時に高額な医療費がかかることも。健康保険証はビザの更新にも必要となるので、加入義務がある外国人は適切な健康保険に加入しなければいけません。

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