ハラスメントの定義と種類-職場で起こさない為の予防策を解説

セクハラ、パワハラ、モラハラなど、現在一般的に定義されているハラスメントは30種類以上。

「何がハラスメントになるかわからない」という方もいるかと思いますが、それぞれのハラスメントには基本的な定義が定められています。

今回は、ハラスメントの種類や、どんな行為がハラスメントに当たるのかを解説。
また、職場で起こりがちなハラスメントや、その防止策についてもお伝えしていきます。

ハラスメントの定義

まず、ハラスメントの定義についてお伝えします。
ハラスメントとは、様々な場面での「嫌がらせいじめ」のことです。

具体的には、他者に対する発言・行動等で、相手を不快にさせたり尊厳を傷つけたり不利益を与えたり脅威を与えることをいいます。

ハラスメントをした本人に嫌がらせの意図があったかどうかは関係なく、被害者が「ハラスメントを受けた」と感じた場合は、全てハラスメントになります

主なハラスメントとその定義

先にお伝えしたように、現在一般的に定義されているハラスメントは30種類以上あります。

その中でも、主なものについて解説していきます。

セクシュアル・ハラスメント

セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、職場で行われた労働者の意に反する「性的な言動」によって、労働者が不利益を受けることです。
身体を触ることや、性的なからかい性的な関係やデートなどを強要することはもちろんですが、本人以外の性的な図画を見せたり掲示することもセクハラにあたります。

女性が被害者になることが多いですが、被害者が男性であっても、また同性同士であっても定義は変わりません。
また、上司や同僚だけはなく、部下・取引先・顧客・患者・学校における生徒などもセクハラの行為者になりえます。

また、セクシュアル・ハラスメント被害を訴えた人「職場の和を乱す」などと攻撃したり、訴えを無視することで「セカンドハラスメント」という二次被害を生むこともあります。

パワー・ハラスメント

パワー・ハラスメント(パワハラ)とは、

  1. 優越的な関係を背景とした言動で
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

と定義されています。
①から③までの3つの要素を全て満たすものがパワハラです。

上司→部下という関係性以外にも、地位は同じでも資格や経験などの優位性のある人物、集団による嫌がらせで拒絶が難しい場合なども「優越的な関係」にあたります。

業務上必要かつ相当な範囲を超えた」は、解釈の幅が広いため個別のケースによって判断することになりますが、暴力・暴言・嫌がらせの意図を持った業務指示などを指します。

モラル・ハラスメント

モラル・ハラスメント(モラハラ)は、「モラル(道徳)による精神的な暴力・言葉・態度による嫌がらせ」のことです。
上でご紹介したパワー・ハラスメントとも似ていますが、パワハラの定義には「職場での力関係」が含まれるのに比べ、モラル・ハラスメントはより対象が幅広くなっています。

例えば家族間や友人間職場の同期間など、明確な上下関係がない間柄で行われる嫌がらせがモラル・ハラスメントです。

具体的には、無視・仲間外れ・陰口・暴言など一般的に「いじめ・嫌がらせ」とされる言動や、相手を不快にさせる言動は全てモラル・ハラスメントにあたります。

ジェンダー・ハラスメント

ジェンダー・ハラスメントとは、「性別により社会的役割が異なるという固定的な概念(ジェンダー)に基づいた差別や嫌がらせ」です。
例えば、「もっと女らしくしろ」「男のくせにこんなこともできないのか」といった言動がジェンダー・ハラスメントにあたります。

また、「お茶汲みは女性の仕事」「男性は名字で呼び、女性は名前で呼ぶ」といったジェンダー・ハラスメントが慣例化している職場も。

セクハラと似た要素もありますが、セクハラは「性的な言動」で、ジェンダー・ハラスメントは「性的ではないものの、性別に基づいたハラスメント」という部分が違います。

アルコール・ハラスメント

アルコール・ハラスメント(アルハラ)は、「飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害」を指します。
飲酒の強要や、意図的な酔い潰し飲めない人を侮辱したりからかったりすることなどがアルハラに含まれます。

また、他人に飲酒をさせる以外にも、自分が酔って絡んだり、悪ふざけをすることもアルハラにあたります。

マタニティ・ハラスメント

マタニティ・ハラスメント(マタハラ)とは、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント全般」のこと。

例えば、悪阻で体調が悪い女性に出勤を強要したり、育休を取得させない、また妊娠を理由として配置換えを行ったりすることを言います。

マタハラは被害者に不利益を与えるだけではなく、男女雇用機会均等法に反することであり、雇用主は防止措置を講じることを義務付けられています。

その他のハラスメント

その他のハラスメントには、以下のようなものがあります。

  • カスタマーハラスメント:消費者による自己中心的で理不尽な要求
  • レイシャルハラスメント:人種差別による差別。外国人やハーフに対する偏見・いじめ・不当な扱いのこと
  • ドクターハラスメント:医者が患者に対し、言動・態度・雰囲気により精神的なストレスを負わせること
  • アカデミックハラスメント/スクールハラスメント:大学教授や学校の教員が生徒に対して行う嫌がらせ
  • リストラハラスメント:リストラ対象者に行う嫌がらせ(パワハラの一種)

職場におけるハラスメントの実態

日本労働組合総連合会による2019年の調査では、「職場でハラスメントを受けたことがある」と回答した人は全体の38%
その内容は、上司からは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」、同僚からは「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」がそれぞれ最多となっています。

また、女性が受けた被害の38%はセクシュアル・ハラスメントで、20代男性21%が「セクシュアル・ハラスメントを受けたことがある」と回答しました。

そして、ハラスメント被害者のうち、誰かに相談したことがある人は56%
44%の人は誰にも相談したことがなく、その理由は「相談しても無駄だと思ったから」が最多となっています。

ハラスメントによる企業リスク

ここでは、ハラスメントが発生すると、企業にとってどのようなリスクがあるのかを解説していきます。

法的責任・損害賠償

様々なハラスメントの中でも、セクハラ・パワハラ・マタハラは雇用主側が防止策を講じることが義務付けられています

また、「ハラスメント」というと単なる迷惑行為と括られがちですが、個々の行為は「暴行罪」「名誉毀損罪」「強要罪」「迷惑防止条例違反」といった犯罪になりえます。
それにより、被害者が退職せざるをえなくなったり、うつ病やPTSDの発症などの不利益を負った場合、民事で損害賠償請求も可能です。

それを償うための科料や賠償金は、加害者だけではなく会社にも請求できます
従業員が起こしてしまったハラスメントは、それを防止できなかった会社にも責任があると捉えられるのです。

企業イメージの低下・職場環境の悪化

ハラスメントが横行する会社は、事件に発展したり、口コミで内情が流出したりするとイメージの低下は避けられません。

また、当然ながらハラスメントに晒されながら働く従業員のモチベーションは低下し、業績の悪化や人材の流出に繋がります。

ハラスメントを防ぐために

それでは、ハラスメントを防ぐために、会社側ができることについてお伝えします。

トップの姿勢・従業員の教育

ハラスメントを防ぐために最重要なのが、ハラスメントを許さないというトップの姿勢と、従業員の教育です。

リーダー研修にハラスメント防止講習を盛り込んだり、ハラスメント発覚時には適切な処罰を行うなどの仕組み作りを行いましょう。

また、定期的な意識調査や、従業員同士のコミュニケーションなど、被害が大きくならないうちに問題を解消することも大切です。

相談窓口の設置

万が一ハラスメント被害が起こってしまった時のために、社内外に相談窓口を設置しておくことも重要です。

また、窓口を設置したことと「必ず守秘義務を守る」ということは、全従業員に周知しましょう。

気軽に相談できる場所があることは従業員に安心感を与えるとともに、加害者になりかねない人への抑止力にもなります。

ハラスメントを受けた・見かけたら

最後に、ハラスメントの被害者になったり、被害を見かけた場合には、どのように対処すべきかをお伝えします。

誰に相談すべきか

ハラスメントの相談先は、会社が相談窓口を設けている場合にはそこへ連絡するのが一番です。
また、家族・友人・恋人など、会社に関係なく、かつ信頼できて自分の味方になってくれる相手に相談すると、一緒に今後の対策を考えていくことができます。

定められた相談先がない、周りに頼れる人もいないという場合には、厚生労働省が「ハラスメント悩み相談室」を設置しています。
電話・メールで無料相談が可能です。

また、厚生労働省の「ハラスメント悩み相談室」は、ハラスメント被害者会社内でハラスメントが起こってしまった事業主・人事労務担当者からの相談も受け付けています。

相手を訴える場合に必要なことは?

ハラスメントの加害者を訴える場合には、まずはその証拠が必要です。
暴言の録音メールは必ず保存し、暴力を受けたり心身を害して病院を受診した場合は、その診断書などが証拠になります。

また、ノートなどに「いつ・どこで・誰に・どんなことを言われたか」を書き残しておいたものも証拠として使えます。

相手を訴えられるだけの証拠が揃ったら、
(1) パワハラの中止を求める通知書

(2) 交渉

(3) 法的手段
という手順で相手を訴え、損害賠償などを求めていきます。

まとめ


ハラスメントの定義は、「いじめ・嫌がらせ」にあたる言動全般。

加害者にその意図がなくても、被害者側がハラスメントだと受け取ればハラスメントになります。

慣例化され、見逃されているハラスメントもあるので、何がハラスメントに当たるのかをきちんと知り、防止策を設けていくことが重要です。

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