【2021年最新版】企業でのダイバーシティ&インクルージョンとは?導入のポイントと企業事例

大企業やグローバル企業を中心に、「ダイバーシティ&インクルージョン」推進に積極的な企業が増えています。
近年注目されているこれらの言葉ですが、具体的な意味や方策をご存知ですか?

今回は、ダイバーシティ&インクルージョンという言葉の意味や、これらが注目されている理由を解説。

会社で導入する方法や、メリットについてもお伝えします。

ダイバーシティ&インクルージョンとは

まずは、ダイバーシティ・インクルージョンそれぞれの言葉の意味と、なぜこれらが現代社会で注目されているかという経緯についてお伝えします。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティ(diversity)は、直訳すると「多様性」という意味の英語です。
使われる場面によって意味合いは微妙に変わりますが、人事やマネジメントの分野では、国籍・性別・年齢などにこだわらず、様々な人材を登用しようという考え方を指します。

また、それぞれの人材が最大限に実力を発揮できる環境を目指す企業経営は「ダイバーシティ経営」と呼ばれます。

インクルージョンとは?

インクルージョン(inclusion)は、直訳すると「包括」「包含」という意味です。
人事・マネジメント分野で使う場合には、「すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態」を指します。

多様な人材をただ登用するだけではなく、さらに個性を活かして相互に作用するという意味合いがあり、ダイバーシティよりも一歩進んだ状態と言えます。

ダイバーシティとインクルージョンの関係と歴史

ダイバーシティは、もともと白人男性優位に傾いていたアメリカで確立した考え方です。
有色人種や女性など、多様な人材の積極的な採用・差別のない処遇を目指すために、この考えが社会に広まって行きました。

一方、インクルージョンはヨーロッパから生まれた考え方です。
経済格差の大きいフランスでは、国が定めた福祉制度からも排除されてしまう貧困層があり、その状態が「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」と呼ばれ問題視されていました。
その対義語として「どんな人も排除しない(包含した)状態」がインクルージョンと呼ばれています。

日本でも、慣習的に男尊女卑の背景があり、在留外国人や障害者などマイノリティに対する差別・偏見があることも否めません。
また、ヨーロッパほどではなくても、国内の経済格差は広がっています。
少子高齢化の影響からも幅広い人材の活用が必要になっている今、日本でもダイバーシティやインクルージョンという考え方が注目されているのです。

ダイバーシティ&インクルージョンの3つの取り組み方

それでは、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組むための3つの方策について解説していきます。

①多様な属性の活用・受容

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する第一歩は、様々な属性の人材を積極的に採用し、そのような人材が活躍できる就労環境を整えることです。
     

  • 女性
  • 外国人
  • 障がい者
  • シニア層
  • LGBT

など

これらの人は、身体的な特徴や言葉の壁、偏見などが原因で、就職の間口が狭くなりがちです。
性別や性指向、年齢、国籍など、必ずしも職務には関係ない項目で人材を選別するのを止めることで、社内のダイバーシティとインクルージョン化が進みます。

②多様な価値観の受容

本人が生まれ持った属性だけではなく、主体的に選び取った価値観を受容することも重要です。
「多様な価値観」とは、例えば以下のようなものを指します。

  • 意見
  • 経験
  • 職能
  • 宗教
  • ライフスタイル

など

これまで社内になかった価値観を持つ人を、排除せず受容することで、自由な発言や新たなアイデアが生まれやすくなります。

どんな人でも自分らしく働ける環境が、ダイバーシティやインクルージョンの推進に繋がるのです。

③多様な働き方の受容

ダイバーシティ&インクルージョン推進の一環として採用する人材は、従来のようなフルタイム出社という働き方が難しい場合もあるでしょう。
社内規定を変更して、柔軟な働き方を取り入れることで、多様な人材が働きやすい環境が作れます。

  • リモートワーク
  • 経験
  • 時短勤務
  • フレックスタイム制
  • 社内保育所の設置

特に自宅で仕事ができるリモートワークは、海外在住者の採用も可能になったり、育児や介護との両立もしやすくなります。
インターネットの発達により、自宅でできる業務も多くなっているため、導入することで働きやすくなる人材は多いでしょう。

ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む5つのメリット

ダイバーシティ&インクルージョンを推進すると、様々な人材が働きやすくなって多くのメリットが生まれます。

①従業員の定着率アップ

ダイバーシティ&インクルージョンの推進により、従来は退職せざるをえなかった社員も働き続けることができ、定着率がアップします。

例えば、育児休業や介護休業の制度を充実させれば、仕事と私生活の両立ができずに離職する社員を減らせます。
また、様々な意見が受け入れられ、自由な発言ができる会社は雰囲気がよくなり、人間関係や風通しの悪さが理由となる離職も防げるでしょう。

②社内の信頼関係・一体感向上

様々な人材が尊重されることにより、社員一人ひとりに「自分は会社から大切にされている」という意識が芽生えます。
そのため、会社と従業員のエンゲージメントが高まり、一体感を持って仕事に臨むことができるでしょう。

自分が直接的に恩恵を受ける制度ではなくても、人を大切にする会社に愛着を持ち、モチベーションが上がる社員は多いです。

③優秀な人材の確保

人材の属性に捉われずに採用を行うことで、これまで視界に入っていなかった優秀な人材に目を向けることができます。

例えば、日本は女性の大学進学率が世界トップレベルにも関わらず、卒業後に正社員として就職しない女性は全体の1/3にも昇ります。
このような人材が働きやすい環境を作ることで、優秀な人材の確保・維持ができるでしょう。

④多様なアイデア・イノベーションの創出

社内に多様なバックグラウンドや価値観を持つ人材がいることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。

特に、マイノリティ層やニッチな需要をターゲットにした商品やサービスを生み出すには、当事者の視点が重要になるでしょう。

⑤やる気が上がり、生産性アップ

様々な考え方が認められる土壌があれば、社員一人ひとりが主体性を持って仕事に臨むことができます。
社員のモチベーションが上がったり、作業効率化のアイデアも出やすくなることで、生産性アップにも繋がるでしょう。

また、ダイバーシティ&インクルージョン推進に積極的な企業は世間からのイメージも良いため、社内外からの影響で業績向上が見込めます。

ダイバーシティ&インクルージョン導入の注意点

ダイバーシティ&インクルージョン導入の注意点は、様々な人材を登用することで齟齬が生まれやすくなること。

ダイバーシティやインクルージョン推進のなかで登用された多様な人材は、裏を返せば推進前は働きづらかった人材ということです。
従前の偏見を捨てられない社員がいれば、立場の違いによる対立や、個性の違いを理由にしたハラスメントなどは起こりえるでしょう。

また、根本的な価値観の違いや、言葉の壁によるコミュニケーションの難しさなどにも配慮して調整していく必要があります。

ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業事例

最後に、ダイバーシティ&インクルージョンに積極的に取り組む企業の事例を3つご紹介します。

野村證券

野村證券は、国際的な競争力を高めるためにダイバーシティ&インクルージョン体制を推進。
採用や評価・処遇において、国籍・人種・民族・性別・性志向・性自認・年齢・宗教・信条・社会的身分・障がいの有無などに基づく一切の差別を行わないことを「野村グループ行動規範」に定めています。

野村グループでは現在約90ヵ国の国籍を持つ社員が働いていて、女性・シニア層の活躍推進にも力を入れています。

P&Gジャパン

P&Gジャパンは、「グローバル・ダイバーシティ&インクルージョン・アワード・セレブレーション」として、ダイバーシティとインクルージョンを進展させた社員の表彰を実施しています。
また、社内での採用にとどまらず、サプライヤー(流通・小売店)として退役軍人、障害者、LGBTのオーナーを含む、女性やマイノリティが経営する会社と積極的に契約。

さらに多数の社会貢献事業を行うなど、1つの会社としてだけではなく、社会全体のダイバーシティ&インクルージョン推進に積極的な企業です。

ANA

ANAは、2015年にCEO 自らが「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を発表。
女性・障害者・シニア・外国籍社員など多様な人材の活躍を推進するための専任組織を設け、 働き方改革や労働環境の整備を行っています。

特に研修制度が充実していて、階層別の研修やビジネススクールでの教育を行い、多様なバックグラウンドの人材がそれぞれキャリアアップを目指せる環境が整えられています。

まとめ

ダイバーシティ&インクルージョンは、様々な人材が、その人らしく社会進出するための考え方。
人材不足の解消をはじめ、新たなアイデアの創出や業績アップなど、多面的なメリットがあります。

注意点や導入が難しい部分もありますが、自社へのメリットの他に社会貢献という側面からも、多くの企業が考えていくべき課題と言えます。

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