
インターンシップは、学生を企業に迎え入れ、実際の職場の雰囲気や仕事を体験してもらう機会。
採用ノルマの達成が難しい企業や、新卒者の早期離職率が課題の企業では、解決の糸口になる施策です。
今回は、企業側・学生側それぞれのインターンシップの目的や、インターンシップの種類について解説。
実際にインターンシップを実施する際の注意点についてもお伝えします。
インターンシップとは
インターンシップとは、日本語にすると「就労体験」のこと。
学生や求職者を企業に迎え入れ、社員のアシスタントやアルバイトのような扱いで実際に働いてもらうことです。
ただし、インターンシップの参加者は正式な雇用者ではないので、見せられない機密情報も多いです。
そのため、実際に仕事に携わるのではなく、仕事の内容や社員のやりがいが理解できるような体験プログラムを作成し、実施する企業もあります。
インターンシップの目的
それでは、企業側・学生側それぞれのインターンシップの目的についてお伝えしていきます。
企業側の目的
企業側がインターンシップを実施する目的は、その後の採用活動に活かすために人材集めや育成を行うことです。
①優秀な人材を集める
インターンシップを実施する第一の目的は、優秀な人材と早期に接触して応募者を集めること。
従来は4年生の4月から開始されていた新卒の採用活動ですが、経団連の指針によって2016年からは8月、2017年以降は6月からとスタートが遅らされるようになりました。
インターンシップは採用活動には含まれないため、できるだけ早く学生と接点を持つためにインターンシップを実施する企業が多いのです。
特に認知度の低い中小企業にとって、自社の魅力や業務内容を知ってもらう格好の機会となります。
引く手あまたな優秀な人材は大手企業へ流れていきやすい傾向にあるため、選考免除などの優遇措置を与えて、優秀な人材を引き込む場合もあります。
②ミスマッチを防ぐ
インターンシップの2つ目の目的は、企業の風土と求職者のミスマッチを防ぐこと。
実際に職場に来て仕事に参加してもらうことで、仕事への適性や社員との相性といったマッチングが見極められます。
そのため、インターンシップを経て入社した社員は早期離職するリスクが低く、後の採用コストや手間を削減することにも繋がるのです。
③若手を早くから育成する
インターンシップは、入社前の研修として利用することもできます。
仕事の内容や大まかな流れをインターンシップ中に教えることができれば、入社後から戦力になるまで育成する期間が短くなります。
早い時期から内定者インターンシップを行う企業は、このような狙いが強いと言えるでしょう。
学生側の目的
次に、インターンシップに参加する学生側の目的は以下の通りです。
①業界・企業への理解を深める
学生がインターンシップに参加するメリットは、実際の仕事を体験することで自分の将来像が掴みやすくなること。
志望している業界や企業への理解を深めることで、就職活動の指針を定めたり、考え直したりすることができます。
社会のことをあまり知らない学生にとっては、貴重な機会となるでしょう。
②自分の実力・適性を知る
学生は、その業界や職種を志望する思いだけは強くても、実力や適性はいまいちということがあります。
そういった学生が内定を獲得したとしても、入社後にミスマッチを感じやすく、早期離職するリスクが高いです。
仕事を体験することで自分の実力や適性を知れることは、企業側・学生側ともにメリットがあります。
③就職活動に有利
インターンシップに参加すると、学生は社員に顔や名前を覚えてもらうことができます。
また、インターンシップ中に「使える」と思ってもらえた学生は、採用可能性がかなり高くなります。
倍率の高い企業や人気の職種で、他の学生より有利に内定を得るためにインターンシップに参加する学生も多いのです。
インターンシップの種類と期間
インターンシップには、大きく分けて「短期」「長期」の2種類があります。
それぞれの目的やメリット・デメリットについて知っていきましょう。
短期インターンシップ
短期インターンシップとは、1日から1ヶ月程度の期間のインターンシップのことです。
1dayインターンシップは就活イベントの延長という側面が強く、仕事を体験するのは2〜3時間程度で、他に説明会や社員との座談会などが実施されます。
企業側は学生と接点を持つこと、学生側は企業研究が目的で、研修や育成はほぼできません。
1週間〜1ヶ月程度のインターンシップは、「サマーインターンシップ」「ウィンターインターンシップ 」などとして学生の長期休暇に実施されることが多いです。
グループワークや社員のアシストなどの仕事から適性を見極めたり、社員と学生の交流を持つことが目的です。
企業によっては選考の一部として実施する場合もあり、インターンシップの参加者は試験の一部が免除されたり、インターンシップでの働きによって本採用が決まったりすることもあります。
長期インターンシップ
長期インターンシップは、1ヶ月以上、数ヶ月や年単位で実施するインターンシップのことです。
ほとんどの場合、給与が支払われ、入社後に即戦力として活用するための育成を目的としています。
内定者の入社前研修としての性質を持つ長期インターンシップも多いです。
インターンシップ中に社員と学生の人間関係が構築され、仕事内容やビジネスマナーも身についているため、優秀な即戦力を採用できることがメリット。
また、学生にとってはアルバイト感覚で志望する業界を体験でき、就職活動が有利になるというメリットがあります。
外国人インターンシップのメリットと現状
外国人インターンシップを行うメリットは、採用できる学生の幅が広がることです。
日本人の新卒者だけでは労働力の確保が難しい場合には、海外からの留学生を受け入れることで採用ノルマを達成しやすくなります。
また、外国人を初めて採用する企業の場合、「外国人を雇用する」ということを企業側が体験できるという側面もあります。
現状、日本で学校を卒業した外国人留学生が国内で就職する割合は「31.1%」と低く、日本での就職を希望する留学生「63.6%」という数字との間にギャップがあります。
外国人を雇用する企業側の不安感を減らすこと、企業と留学生のマッチングを高めることに、外国人インターンシップは大きな助けとなるでしょう。
インターンシップ実施時の注意点
最後に、インターンシップを実施する際の注意点を2つお伝えします。
目的や課題を明確にして準備する
インターンシップを実施する場合は、その目的や課題を明確にしましょう。
例えば、応募総数が少なく採用ノルマの達成が課題の場合は、多くの学生が気軽に参加できる短期インターンシップが適しています。
逆に、新卒者の早期離職率が課題となっている場合、長期インターンシップでしっかり適性を見極めることで効果が出るでしょう。
また、単に職場に学生を入れるというだけではなく、目的に適したプログラムの作成や、学生に任せられる仕事の範囲を精査するといった準備も大切になります。
労働基準法を遵守する
インターンシップの参加者は、無償で使える労働力ではありません。
インターン生が労働基準法で定められた「労働者」にあたる場合は、最低賃金法や労働基準法などの労働関係法規を遵守する必要があります。
インターン生が労働者と見なされる基準は、「企業とインターン生の間に実質的な指揮命令関係があったか」「企業がインターン生の作業によって利益や効果を得たか」の2点です。
「見学」や「体験」の域を超えて働くインターン生には、タダ働きをさせたり、インターン生の成果物を企業の利益のために利用したりすることは認められていないのです。
まとめ
インターンシップは、企業と学生の接点を作り、入社後のミスマッチも防げる効果的な施策です。
外国人留学生の採用を考えている場合も、インターンシップを行うことで企業側・学生側双方にメリットがあります。
インターンシップを実施する際は、目的の明確化や法律の遵守といった注意点を守ることが大切です。