
いざ外国人を採用するとなったとき、日本人を採用するときと違い、一番気をつけなければいらないのが、ビザの問題です。
申請時に必要な書類やビザの種類を事前に知っておかなければ、外国人の方に内定通知を出し、さて入社となった段階で入社することができないという事態になりかねません。
そうなってしまった場合、これまでの採用費用はもちろん、採用にかけてきた時間も無駄になってしまいます。それだけでなく、採用される外国人の方も時間の無駄になってしまいます。
そうならないためにも採用される外国人はもとより、採用する側の企業もビザについてよく理解をしておく必要があります。今回は外国人を採用する際に必要なビザについてまとめました。
・ビザの種類
・働くことのできるビザ
・事前に確認すべきこと
・申請方法
・注意点
外国人が就労可能なビザの種類
まず、大前提として日本に滞在する期間が90日(観光ビザ)を超える場合、必ずビザが必要になってきます。ビザは正式には「査証」と言い、目的によって取得していなければならないビザは変わってきます。ビザは全部で27種類あります。
・働くことのできるビザ
外国人が一企業で働くとなったときに主に必要なビザは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格になります。企業で働くことできるビザは他にも「技能」「企業内転勤」「経営管理」「技能実習」「特定活動」などがあります。今回は正社員の雇用に限ってまとめていきます。
外国人アルバイト採用・インターンシップ・技能実習生はこちら(後日更新)
先ほど話した通り、外国人を採用するとなると「人文・知識・国際業務」の在留資格を取らなければなりません。こちらを取得せずに働かせてしまった場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(又は併科)を外国人本人だけでなく、雇用主も課せられてしまいます。このことからやはりビザに関してきちんと知識を身につけておきましょう。
詳しくはこちらも参照
URLビザ罰則(後日更新)
事前に確認すべきこと
実際に申請をする前に確認をしなければならないことがあります。
- 現在のビザの種類・残りの期間
- 採用をする外国人の専攻
- 入社希望日
現在のビザの種類・残りの期間
まずは採用したい外国人の方のビザを確認することが大切です。その方が永住権や配偶者ビザ、すでに「人文・知識・国際業務」のビザを持っている場合は新たに申請する必要はありません。
※「人文・知識・国際業務」のビザの場合、職種がビザに該当し、有効期限内であれば働くことができます。より確実な方法として、「就労資格証明書交付申請」を行うことをオススメします。入国管理局に外国人の経歴や学歴、自社の登記事項証明書や会社概要、財務状況を証明する書類を提出します。取得することができれば企業で働くことは何も問題はありません。
しかし、留学ビザやワーキングホリデービザなど、中には短期滞在ビザ(観光ビザ)で入国している方もいます。その場合は必ず「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得しなければなりません。
採用をする外国人の専攻
こちらは面接の段階で確認することをオススメします。基本的にビザを申請する場合、その外国人が専門的な知識を持っていることが前提となります。
そのため、大学や日本の専門学校で仕事に必要な知識を学んでいるかが重要になってきます。例えば、IT企業が外国人を採用したい場合、必ず大学でITや情報系の学部を卒業していなければなりません。
ここで注意点があります。そのIT企業が業務管理系のシステムを開発している会社の場合、情報系が専攻でなくても、会計や経営を大学で専攻していれば問題ありません。
もしくは、ごく稀にはなりますが、10年以上の実務経験があれば、こちらも問題ありません。
入社希望日
こちらは特にまだ就業ビザを持っていない留学生等を採用する際に気をつけなければならない事項です。ビザの申請には一定の期間がかかります。もちろんビザを交付される前に働くことはできません。ですので、このビザ申請期間を考慮し、入国管理局に申請をしなければなりません。
・申請方法
さて、上記の3つの事項が確認できたら、いよいよ申請方法についてです。
こちらも大きく分けて、3ステップあります。
書類集め(企業・外国人)
ビザを入国管理局に申請する場合、採用する企業側、雇用される外国人側で準備をしなければならない書類がそれぞれあります。
企業の財務状況や経営状況を判別できるもの、実際にその企業が実在し、利益を上げているかを証明する書類が必要になります。
もし仮に外国人が雇用される会社の財務状況が思わしく、倒産するとなった場合、雇用されている外国人が路頭に迷う可能性があります。
そこで犯罪などされたら、国としてもたまったものではありません。ですので、このような書類が必要になります。また、必要な書類が会社の規模によって異なります。
一部上場をしている会社の場合、すでに社会的信用は担保されているので、提出しなければならない書類は少なくなります。
しかし、設立が1年未満で社員が3人しかいないというような会社の場合、当然社会的信用がほとんどないので、必要となる書類は多くなります。会社の規模によって4つのカテゴリーに分けられ、必要な書類の数が変わってきます。
カテゴリー1
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 日本または外国の国・地方公共団体
- 独立行政法人
- 特殊法人・認可法人
- 日本の国・地方公共団体の公益法人
こちらはいわゆる大企業と独立行政法人などの特殊法人が入ります
カテゴリー2
前年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、 給与所得の源泉徴収額が1500万円以上ある団体・個人
こちらはカテゴリー1に属さない規模の会社です
カテゴリー3
前年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人 (カテゴリー2を除く)
カテゴリー4
上記のいずれにも該当しない団体・個人
その他企業です
一方、雇用される外国人側としては主に日本で働く上で、きちんとした人間なのか、犯罪等は犯していないかを確認するための書類を提出します。そのため、下記の書類が必須になります。
共通書類
外国人
在留資格変更許可申請書、証明写真(3×4)1枚
カテゴリー1
企業
上場していることを証明する書類(四季報など)
外国人
最終学歴(日本)の卒業証明書、または卒業見込証明書
カテゴリー2
企業
上場していることを証明する書類(四季報など)、前年の職員の源泉徴収票などのコピー
外国人
最終学歴(日本)の卒業証明書、または卒業見込証明書
カテゴリー3
企業
- 登記事項証明書
- 前年の職員の源泉徴収票などのコピー
- 定款のコピー
- 会社案内やHP(役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績)
- 直近年度の賃借対照表
- 損益決算書コピー
- 申請理由書(職務内容との関連、事業の継続性安定性)
- 雇用契約書
外国人
- 最終学歴(日本)の卒業証明書、または卒業見込証明書
- 最終学歴の卒業証明書、成績証明書
- 在留カードコピー
- パスポートコピー
- 本人の履歴書
- 日本語能力を証明するものコピー(日本語能力検定など)
- 資格合格書コピー(職務に関するもの)
カテゴリー4
企業
- 事業計画書
- 登記事項証明書
- 前年の職員の源泉徴収票などのコピー
- 定款のコピー
- 会社案内やHP(役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績)
- 給与支払い事務所等の開設届出書コピー
- 所得税徴収高計算書
- オフィス、店舗の建物賃貸借契約書コピー
- 会社の写真(外観や内装など)
- 申請理由書(職務内容との関連、事業の継続性安定性)
- 雇用契約書
外国人
- ・最終学歴(日本)の卒業証明書、または卒業見込証明書
- 最終学歴の卒業証明書、成績証明書
- 在留カードコピー
- パスポートコピー
- 本人の履歴書
- 日本語能力を証明するものコピー(日本語能力検定など)
- 資格合格書コピー(職務に関するもの)
申請
上記の書類を全て集めたら、ようやく申請ができます。
申請は居住予定地にある入国管理局へ書類を提出しに行きます。
詳しくは下記をご覧ください
この際、提出をするのは申請をする(採用をされる)外国人本人か、資格を持っている行政書士のみになります。他にも雇用主が行うことができる場合もありますが、基本的には上記の2人になります。
雇用される外国人自身が直接行くのが確実になります。しかし、その外国人のみで行かせてしまい、仮に日本語がそこまで達者でなかった場合、後々何か起きたりする可能性があります。ですので、行政書士と一緒に付き添ってもらうのが一番確実です。
外国人採用のためのビザ取得に強い行政書士一覧(後日更新)
ビザ交付
ビザを交付されたら、早速働くことができます。
ほとんどの場合は申請した外国人宅に書類が届けられます。
そこからビザに記載されている期間日本に滞在することができます。
1年、3年、5年のいずれかです。期限が切れる3ヶ月前には延長を申請しなければなりません。
※注意点
初めて就業ビザ申請を行う企業様は行政書士か外国人人材紹介会社にお願いすることを強く勧めます。
万が一、申請をしたが取得できなかった場合、もう一度申請することは可能ですが、その場合雇用される外国人のビザが切れてしまったり、ビザが支給されていないのに働かせてしまうなど、法律を犯す可能性があります。
ですので、専門家にきちんと相談することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
今回は概要をお伝えしました。ビザには様々な種類があり、日本に滞在できる期間、できる仕事もビザによって様々です。
初めて外国人を採用される企業様は行政書士か人材紹介会社にお願いされることをお勧めします。