建設業で外国人を採用する方法や手続きを解説!

現在、日本の建設業は深刻な人手不足に悩まされています。2017年度の厚生労働省の調査によると(※)、建設業における産業別人手不足感は約50%で、深刻な人手不足産業と言われています。
そんな中、2019年4月入管法の改正により、新設された特定技能ビザの在留資格によって建設業での正規雇用が可能になりました。

在留資格や在留期間によって、建設業で外国人を採用する方法は異なります。また、在留資格の確認・手続きを適切に行わないと採用側が罪に問われる場合もあるため、注意が必要です。

ここでは、建設業で外国人を採用する方法・手続きの方法を説明します。建設業で外国人の採用を考えている方はぜひ参考にしてください。

※ 厚生労働省:「建設業における人手不足の実態統計

建設業に外国人が欠かせない理由

建設業に外国人が欠かせない理由としては、日本人技能労働者の離職率の増加、日本人労働者の高齢化があげられます。

日本人技能労働者の離職が増えている

建設業では日本人技能労働者の離職が増えています。建設業には公的な資格がなく、給与の目安もないため会社によって給与に差があります。日給制の企業も多く、悪天候で仕事がない場合もあるため、月ごとの給料にムラがでて安定しないことが理由として考えられます。

また、労働条件の悪さも離職理由に挙げられます。建設業では他の産業より長時間労働が多くなりがちです。納期に追われることも多く、安定した休みがとりづらいことも離職に繋がっています。

日本人技能労働者の高齢化

建設業界における日本人技能労働者の高齢化は、他の業種よりも進行しています(※)。バブル崩壊後に長期に渡る不況が続いたせいで新卒採用が減少したため、建設業では現在40代になる労働者人口が少なくなっています。
また、後述しますが、若者が建設業界に就職しないことも高齢化の要因となっています。

※国土交通省:「建設業就業者の高齢化の進行

建設業界の若者離れ

若者が建設業界を敬遠する背景には、まず建設業自体が若い人に興味を持たれなくなったことが挙げられます。その理由は、仕事内容が「きつい・汚い・危険」といういわゆる「3K」です。

また、建設業界は他の産業に比べて長時間労働が多くなりがちであること、社会保険に未加入の事業所が多いことなど、福利厚生面で行き届かない面があることも理由として考えられます。

建設業の約3割が55歳以上

建設業就業者全体の3割以上が55歳以上なのに対し、29歳以下は1割程度(※)と、若者が少なく全体の年齢層が高くなっています。55歳以上の就業者が退職してしまうと、人材不足は更に深刻化するため、早急な人材確保が必要とされています。

※国土交通省:「建設業の現状について。建設業就業者の現状

建設現場で外国人を採用する方法

さて、そこで人手不足解消のため外国人を採用したい訳ですが、誰でもOK、ということではありません。特に、建設業は入国管理局の基準で単純労働とみなされているため、在留資格によっては採用が認められていません。
ここでは、各在留資格で外国人を採用する方法をご紹介します。

外国人建設就労者の要件・在留期間

まず、外国人が建設業で就労できる条件は、特定技能ビザ・資格外活動許可・技能実習生1号・2号の在留資格取得者であること、さらに永住者・定住者・その配偶者等であること、となります。それぞれ働くことができる内容や期間が異なりますので注意しましょう。

特定技能ビザ

特定技能ビザは2019年4月に新設された新しい在留資格です。「1号」と「2号」があり、「特定技能2号」になると在留期間の更新制限がなく、家族も滞在することができます。
そんな特定技能ビザは、以下の二種類の方法で取得することができます。

技能実習生から特定技能ビザを取得する場合

特定技能ビザの建設部門を取得するのは、ほとんどが技能実習生(3年間)からの移行者です。技能実習終了後、一定の技能を有している人材を特定技能ビザの在留資格へ切り替えることができます。

技能実習未経験者が特定技能ビザを取得する場合

技能実習未経験者でも、業界団体による「建設分野特定技能1号評価試験」か「技能検定3級」、さらに「日本語能力試験N4以上」もしくは「日本語能力検定テスト」に合格した人であれば、建設業の特定技能ビザを取得することができます。

資格外活動許可

原則として、在留資格が「留学」や「家族滞在」の人は報酬をもらって働くことはできません。しかし、例外的に「資格外活動許可」であれば以下の制限付きで働くことができます。
・留学生…1週間に28時間以内。夏休み・冬休みのような長期休暇の場合は、1日8時間以内であれば認められます。
・家族滞在…1週間に28時間以内

「資格外活動許可」を取得しているかどうかは在留カードの裏面に記載されているため、採用の際に必ず確認しましょう。

技能実習生1号・2号

建設業には、日本で若い外国人に技術や知識を身につけてもらおうという国際支援を趣旨とした「技能実習生」(1号・2号)という在留資格があります。この技能実習生であれば、最長3年間学びながら建設業に従事することができます。

後で詳しく説明しますが、大企業などが単独で実習生を受け入れる「企業単独型」の場合はイ、受け入れ側が組合など「団体監理型」の場合はロとなり、「1号イ」「1号ロ」のように区別します。日本ではほとんどが「団体監理型」であるロとなります。

技能実習生1号…技能実習生として1年目の資格
技能実習生2号…技能実習生として1年経過後、技能評価試験(基礎級)を受験し、合格した人が資格変更したもの。技能実習生1号と合わせて最大3年まで在留できる資格です。3年後はいったん帰国したのちに、3号として最長2年延長して在留することが可能です。

あるいは、最長でも2022年までという時限措置ですが、「建設分野の技能実習生」に限って、技能実習と合わせて最長5年の建設就労が可能です。在留資格は「特定活動」(建設特定活動)となり、建設関係の実習を2年以上行っていることが条件です。

永住・定住・配偶者の外国人

永住者・定住者・日本人の配偶者等とは以下に当てはまる人のことです。

永住者…法務大臣が永住を認めた人で、生活の拠点が日本である人。在留期限はなし。
定住者…法務大臣が特別な理由を考慮し、一定期間の在留を認めている人
配偶者等…日本人の配偶者・日本人の子や特別養子、永住者の配偶者等

永住者と配偶者等は日本人と同じように時間制限なく就労できます。(配偶者は婚姻中)定住者に関しては、期限内では制限なく働くことができます。

建設業で外国人を雇用した場合の流れ

建設業で外国人を雇用する場合、在留資格の有無、在留資格の期間の確認は必ず必要になります。その他にも雇用した場合に必要な手続きがありますので、まとめてご紹介いたします。

外国から技能実習生を受け入れるための流れ

外国人技能実習生を受け入れるには、「企業単独型(イ)」と「団体監理型(ロ)」の二種類があります。それぞれ紹介します。

なお、技能実習生を受け入れる場合に注意すべきは、在留年数(通常3年)、業種(対象職種・作業リスト)、上限人数などの制限があることです。即戦力として雇用するのではなく、あくまでも実習が目的であることを念頭に置く必要があります。

企業単独型(イ)の受け入れ方法

企業単独型の技能実習生の受け入れは、海外に子会社や工場などを持つ日本企業が現地の従業員を日本に呼び寄せて実習させるという形で行われます。
なお、就労ビザの一つに「企業内転勤」がありますが、これは高度な技術を要する仕事にのみ適用されるため、一般的な建設業は該当しません。

企業単独型での受け入れ先は以下の場合が認められています。

・親子会社
・子会社同士
・本店と支店の関係
・関連会社(一定の条件を満たしている場合)
・継続1年以上の国際取引実績がある場合
・過去1年間に10億円以上の国際取引実績がある場合
・提携関係にあって大臣が認める場合

団体監理型での受け入れ方法

団体監理型とは、事業協同組合や商工会議所等の非営利団体が受け入れ先となって、傘下の中小企業で技能実習を行うというものです。監理団体は外国人技能実習生にかかわる申請手続や、実施体制が適法であるように管理を行ったり、現地で外国人実習生を面談・選抜したりすることもあります。

外国人技能実習生の受け入れを考える場合は、まず監理団体を探し、以下の項目について確認する必要があります。

・監理団体の許可申請・許可証(外国人技能実習機構)
・技能実習計画の認定申請・認定通知書(外国人技能実習機構)
・在留資格認定証明書の交付申請・認定証明書(入国管理局)
・査証発給申請・査証(在外日本大使館・領事館)
・入国・在留カード(入国管理局)
・日本での日本語・生活・法令研修(管理団体)

この後、研修に入ります。

ハローワークへの届出

外国人労働者を雇用したり離職したりする際には、必ず「外国人雇用の届出」が必要です。これは雇用対策法で定められており、届出を怠ると30万円以下の罰金が課せられることもあるため必ず提出しましょう。届出はインターネットもしくは直接ハローワークに行って、氏名・在留資格・在留資格などを提出します。

届出の期間は、雇用保険被保険者は翌月10日まで、雇用保険被保険者でない人は翌月末までと違っているため注意が必要です。

外国人建設就労者建設現場入場届出書

外国人建設就労者建設現場入場届出書は、技能実習を修了した外国人を雇用する際に下請負企業が元請負企業に提出する届出です。
外国人が技能実習を修了して帰国後、再入国して働く際にも必要な証明となります。

まとめ

建設業で雇用できる外国人は、永住者・定住者等の一部外国人や技能実習生、制限付きの留学生に限られ、しかも正規雇用ができないなど多くの制限がありました。しかし、2019年4月以降、新設の特定技能ビザによって外国人を即戦力として採用することが可能になりました。

2020年の東京オリンピックに向け、建設業界では早急に人材を確保することが必要とされています。今後、外国人の雇用は増加していくと考えられますが、在留資格の有無はもちろん、在留期間や制限などをしっかり確認した上で採用する必要があります。また採用・離職の際の届出など、雇用が決まった後も必要な手続きがあるので注意しましょう。

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